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つつみ百貨店のトピック~日本本来の葬儀のカタチ~

こんにちは、つつみ百貨店、更新担当の中西です。

 

さて今回は

つつみ百貨店のトピック~日本本来の葬儀のカタチ~

日本の葬儀は、時代とともに変化してきましたが、その根底には「故人を丁寧に弔い、あの世へ送り出す」という精神が受け継がれています。現代では葬儀社が手配する「家族葬」や「直葬」が増えていますが、本来の日本の葬儀は、家族や地域社会が一体となって行うものでした。本記事では、日本の伝統的な葬儀の形とその精神的背景について詳しく掘り下げていきます。


1. 日本における死生観と葬儀の起源

日本の葬儀文化は、仏教・神道・儒教などの影響を受けながら独自の発展を遂げました。

(1) 神道における死生観

日本古来の神道では、死者を遠ざける考え方がありました。そのため、神社では葬儀を行わず、死後は家の外や特定の場所で弔われることが一般的でした。また、遺族は一定期間「喪(も)」に服し、社会的活動を控えることで死の影響を避ける風習がありました。

(2) 仏教の影響と葬儀の確立

6世紀に仏教が日本に伝わると、「輪廻転生」の考え方が広まり、死者を供養する儀式が発展しました。特に、平安時代以降、貴族や武士階級の間で仏式葬儀が普及し、やがて庶民の間にも広がっていきます。現在、多くの葬儀が仏式で行われるのはこの影響です。


2. 日本の伝統的な葬儀の流れ

かつての日本では、葬儀は地域共同体の支援を受けながら、自宅で行われるのが一般的でした。その流れを詳しく見ていきましょう。

(1) 臨終と枕飾り(まくらかざり)

・故人が亡くなると、すぐに身体を整え、北枕(きたまくら)に寝かせます。
・枕元には香炉・燭台・花を飾る「枕飾り」を設置し、家族が故人を偲びます。
・仏教では僧侶を呼び、「枕経(まくらぎょう)」をあげてもらいます。

(2) 湯灌(ゆかん)と死装束(しにしょうぞく)

・遺体を清める「湯灌(ゆかん)」を行い、死装束を着せます。
・一般的には白装束にし、足元には草鞋(わらじ)を履かせ、三途の川を渡るための六文銭を持たせます。

(3) 通夜(つや)

・親族や近隣の人々が集まり、一晩中線香を絶やさずに故人を見守る。
・酒や精進料理を振る舞い、故人の思い出を語る。
・近年は「半通夜」として短時間で終わることが増えている。

(4) 葬儀と告別式

・葬儀は仏教の形式に則り、僧侶による読経と焼香が行われる。
・告別式は参列者が故人と最後のお別れをする場。
・出棺の際、故人の愛用品を棺に納める。

(5) 火葬と収骨

・日本では奈良時代から火葬が行われており、現代も一般的。
・火葬後は遺骨を拾い、骨壷に納める「収骨(しゅうこつ)」を行う。
・関東では「足から」、関西では「頭から」骨を拾う風習がある。

(6) 初七日・四十九日法要

・故人の冥福を祈るため、初七日・四十九日などの法要を営む。
・四十九日を過ぎると「忌明け」となり、遺族は日常生活に戻る。


3. 地域共同体と葬儀の関係

昔の日本では、葬儀は家族だけのものではなく、地域全体で支え合うものでした。その象徴的な例を紹介します。

(1) 葬儀組や隣組の役割

・村や町では「葬儀組」や「講(こう)」と呼ばれる互助組織が存在し、葬儀の準備や手配を助けた。
・「隣組(となりぐみ)」の制度では、近隣住民が葬儀の手伝いや炊き出しを行った。

(2) 香典の本来の意味

・香典(こうでん)は、葬儀費用を支援するための互助的な仕組み。
・もともとは物品(米・酒など)で提供されていたが、江戸時代以降、金銭が主流になった。

(3) 精進落としの意味

・葬儀後に食事をする「精進落とし」は、喪に服していた遺族が日常に戻る儀式。
・弔問客や手伝いをしてくれた人々への感謝の場でもある。


4. 現代の葬儀との違いと課題

(1) 葬儀の簡略化

・都市化や核家族化により、葬儀が簡略化され、「家族葬」「直葬」が増加。
・地域のつながりが希薄になり、互助の精神が薄れつつある。

(2) 葬儀の商業化

・葬儀社が全面的に取り仕切ることで、昔ながらの「手作りの葬儀」が減少。
・費用の高騰も問題視されることがある。

(3) 新しい弔いの形

・オンライン葬儀や樹木葬、散骨など、多様な供養方法が生まれている。
・合理性を重視する一方で、「故人を偲ぶ時間」が失われつつある。


5. まとめ:本来の葬儀文化を未来へ

日本の葬儀は、単なる儀式ではなく、「故人を大切に送り出す」「遺族や地域社会が支え合う」文化でした。しかし、現代ではその形が大きく変わり、伝統的な儀礼や精神が失われつつあります。

これからの時代に合った新しい葬儀の形を模索しつつも、日本人が大切にしてきた「弔いの心」を受け継いでいくことが求められています。葬儀とは「別れ」ではなく、「つながりを再確認する場」でもあるのです。